富里市の人口について考えたとき、真っ先に出てくる言葉が「増えてる?減ってる?」だけど、それがなんとも答えづらい。
私はこの“曖昧さ”が、ずっと気になっていた。
成田市のように「空港都市です」と言えるわけでもない。
印西市みたいに「新しい住宅地がどんどんできてます」とも違う。
でも、国道296号や409号、それに東関東自動車道を日常的に使っていると、生活そのものは不便じゃない。むしろ整っているようにも見える。
それでも、何かが引っかかる。
周辺と比べたとき、なぜ富里市だけ、こうも“語りにくい人口動向”になっているのか。
その理由を、自分なりの仮説で掘り下げてみた。
富里市の人口が増えにくい理由とは
― 増減が目立ちにくい“受け皿型の町”という仮説
まず私の仮説を一文で言うならば、
「富里市は崩れにくい町だけど、選ばれにくい町でもある」。
生活インフラがきちんと整っていて、ベイシア富里店もあるし、イオンタウン成田富里にも車で行ける。富里中央公園みたいに、休日を過ごす場所もある。
つまり、住んでしまえば困らない。
けれど、何かのきっかけで「ここに住みたい」と選ばれる強さは、他市より弱いのかもしれない。
人が増える町には“理由”がある。(富里市の人口)
けど富里市には“穴がない”だけで、“惹かれる何か”が立ちにくい。
この違いが、周辺と比べたときの人口の鈍さに表れている気がする。
成田市と富里市のちがい
― 空港の近さだけじゃ語れない“中心”のある町
「富里市は空港に近い」。
この説明、たしかに間違っていないけど、成田市と比べると何かが違う。
成田には、観光で人を呼べる成田山新勝寺があるし、駅前のまとまりもある。
医療面でいえば成田赤十字病院のような中核施設もある。
つまり、“人を惹きつける中心”が見える町だ。
それに対して富里市は、空港の恩恵を受けられる立地にはあっても、都市機能の“主役”ではない。
だからこそ、人口の上積みは、空港のある成田側に吸い寄せられるように見える。
印西市と富里市のちがい
― 鉄道がある町と車に頼る町の分かれ目
印西市のことを考えると、まず頭に浮かぶのが駅。
北総線、千葉ニュータウン中央駅、その駅を囲む住宅と商業施設。
この“駅中心”の構造があると、転入してくる人たちの動線もイメージしやすい。
一方で富里市は車社会。
国道296号で成田へ、409号で周辺へ、そして東関道で時間を短縮する。たしかに便利だし合理的。
けれど、鉄道がないと「初めて暮らす場所」として選ばれにくい面もある。
車が悪いわけじゃない。
でも、周囲に鉄道という“強い選択肢”があると、どうしても比較で見劣りする。
これが、印西市と富里市の人口増減の差をつくっていると感じている。
佐倉市・八街市・酒々井町と比べて見える富里市の位置
― 減りすぎず、増えすぎない中間の立場
佐倉市や八街市は、住宅地の年代や街の広がり方のせいか、人口減少が数字として出やすい。
特に八街市は、少し前から“減り方が早い”印象を持たれている。
酒々井町は、規模が小さいこともあって、ちょっとした変化で増減の印象が変わりやすい。
酒々井プレミアム・アウトレットのような大きな施設もあるけれど、それが直接人口を増やすとは限らない。
そんな中にある富里市は、どちらにも大きく偏らない。
急に増えもしないし、急に減りもしない。
この“中間にいる”感じが、逆に独特な位置づけをつくっている。
同じ5万人規模の町と比べて見える性格の違い
― 富里市と宮城県塩竈市の比較
富里市と塩竈市は、だいたい同じくらいの人口(約5万人)。
でも街の構造はかなり違う。
塩竈市は港があって、鹽竈神社のような歴史的な核もある。
そしてJRの駅がいくつもあり、仙台にもアクセスしやすい。
港と鉄道、そして都市圏の近さ。これらが重なると、人口は「ギュッ」と集まりやすい。
それに対して、富里市は“分散型”。
空港の隣なのに中心がない。
移動も車が基本で、鉄道で町がまとまっているわけでもない。
だからこそ、人の動きも静かに見えるのかもしれない。
富里市と島根県浜田市
― 土地に広がる町と東京圏に近い町のちがい
もう一つ、人口が近い町として島根県浜田市を挙げたい。こちらも約5万人。
でも、浜田市は山と海に囲まれ、生活圏の分布が広くてバラけている。
観光地もあるし、交通の基盤も国道9号や浜田自動車道などしっかりある。
けれど、若者の流出や高齢化が進みやすく、どうしても人口は減りがち。
それに比べて富里市は、東京にも成田にもつながっていて、雇用や交通面での基盤は安定している。
急激な人口減にはなりにくい環境にあると思う。
とはいえ、印西市のようにグイッと伸びるような動きもない。
“減らないけど、増えない”という中途半端さが、逆に富里市らしさかもしれない。
富里市の人口が持つ独自のポジションとは
― 増えない理由は、減らない理由と裏表かもしれない
周辺市町村を見渡してみて、富里市はどちらにも振り切れていない。
成田のような強い中心もなければ、印西のような鉄道勢圏でもない。
佐倉・八街のように急激に減っていくわけでもない。
そして、塩竈市のような“凝縮型の港町”でもなく、浜田市のような“分散型の地方都市”ともまた違う。
空港の隣という立地と、車中心の生活圏が重なって、富里市は“静かな維持”を選んでいるようにも見える。
私は次に、富里市の中をもう少し細かく見てみたい。
たとえば国道296号沿いと住宅街の差。
成田寄りと八街寄りで、住む人の動きが違うのか。
そういう視点で見ていくと、富里市の“中間性”の正体がもっとはっきりしてくるかもしれない。
